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教育・研究活動

科学研究費助成事業

科学研究費助成事業に採択されている本学教員の研究

食を伝える新しい異世代間地域ネットワークづくりのための参加型アクションリサーチ

期間
平成27年度~平成29年度
所属
松本大学大学院 健康科学研究科 廣田直子 教授
応募先
日本学術振興会
概要
長野県は、現在、都道府県別の平均寿命が男女ともに1位です。その要因について全国的に関心が高まっていますが、地区組織活動のひとつである食生活改善推進員等の活動が活発に行われており、こうした組織が地域における健康づくりに貢献し、これらの組織を基盤としたソーシャルキャピタルが良好な状態に保たれていることも要因の一つといわれています。食生活改善推進員が伝統的な食事を踏まえた上で、現在の食事の課題を学び、適切な食生活のあり方について伝えてきた地域内における横のネットワークの功績は大きいはずです。
一方、日本一長寿の長野県でも若年者や子どもたちの健康課題は深刻化しており、その要因の一つは、これまでは家庭の中で伝承されていた健康につながる食習慣等の継承がなされない、つまり家庭内における縦のネットワークの弱体化があるのではないかと考えました。
そこで、本申請研究では、地域内において家庭の枠を外してライフステージをつなぐ斜めのネットワークの構築、つまり、健康寿命の延伸に結びつく食を伝える新しい異世代間地域ネットワークづくりを推進したいと考えています。具体的には、異世代間地域ネットワークとして、食生活改善推進員であるシニア世代と高校生がともに行う活動のモデルプログラムを構築し、高校生による食改ユースの組織化の基盤づくりをめざします。活動成果をみるにあたって、プロセス評価指標を検討し、参加者のアウトカム指標を加えて評価法を検証した上で活動の推進を図り、その成果を科学的に検証する予定です。
さらに、その活動プログラムを地域や行政と連携して長野県全体へ、さらに全国へと発信することをめざします。長野県は食生活改善推進員の活動が活発であり、先進的な活動モデルを構築する上で、優れた地域です。参加型アクションリサーチとして取り組み、丁寧に科学的エビデンスに基づいた検証を行っていきたいと考えています。

インスリン様活性を有する食品成分のスクリーニングと作用機構の解析

期間
平成26年度~平成28年度
所属
松本大学大学院 健康科学研究科 髙木勝広 教授
応募先
日本学術振興会
概要
肥満の増加は、生活習慣病の急増という現象を引き起こしています。生活習慣病は、遺伝的な素因に加えて、環境要因(生活習慣)による負担が継続的に重なり、発症・進行する疾病です。糖尿病患者およびその予備軍は約2,050 万人と推計されており、実に日本国民の約6人に1人の割合で現在または将来糖尿病に罹患することになり、今や、糖尿病は国民病ともいえます。我が国における糖尿病の 95 %以上は 2 型糖尿病で、これは高エネルギー食の摂食過多、運動不足などの生活習慣の悪化の結果肥満となり、その後インスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)が引き起こされ、糖尿病が惹起すると考えられます。インスリン作用を示す食品由来の低分子化合物を見出すことができれば、糖尿病および予備軍の治療や発症予防に有用であり、その社会的意義は計り知れません。
私どもは、現在までに大豆イソフラボンや緑茶カテキンを、抗糖尿病効果を期待できる生理活性物質として同定し、その分子作用機序を明らかにしてきました。また最近ではワサビの辛味成分であるイソチオシアネートが糖新生系酵素の発現誘導を抑制することを認めています。そこで、本研究では、イソチオシアネートによる糖新生系酵素遺伝子の発現抑制メカニズムを明らかにするとともに、糖新生系酵素遺伝子の発現抑制を指標に食品成分から広くスクリーニングを行い、抗糖尿病効果を有する生理活性物質を同定することを目的としています。

地域企業における国内・外事業の関連性にかかる研究

期間
平成26年度~平成28年度
所属
総合経営学部 総合経営学科 兼村智也 教授
応募先
日本学術振興会
概要
企業にとって海外進出は現地市場の獲得のみならず、国内での事業(売上・雇用)拡大の契機になっているとの指摘がある。
近年では、地域の雇用を支える中小企業(地域企業)でも海外進出がみられるようになったが、地域企業でもこうしたケースはみられるのだろうか。また、それはどの程度あり、そうでない他の進出企業に比べて、どのような特徴をもつのだろうか。その際、国内・外の事業拡大にとって必要な経営資源はどのように調達・獲得されているのであろうか。一方で、海外事業は拡大しているが、国内事業は縮小する地域企業とはどのような企業なのか。また、これらの企業は現在の状況に至るまで、どのようなプロセスを踏んでいったのであろうか、について海外進出する地域企業が多くみられ、かつ一定の進出歴もあり、業種も多岐にわたる長野県企業を対象に明らかにする。

宇宙滞在の影響を受けにくい体質をつくるための新規エピジェネティクス理論確立

期間
平成28年度~平成29年度
所属
松本大学大学院 健康科学研究科 河野史倫 准教授
応募先
日本学術振興会
概要
NASAは、2030年代に人類を火星へ送る「有人火星探査ミッション」を計画しています。有人火星探査には、物資補給が不可能な最長3年の宇宙滞在が必要とされ、どのようなものを船内に搭載すべきかが重要な課題になります。重力の無い宇宙環境では、重力に対抗した身体活動の必要が無くなり、筋肉や骨、心循環機能などが著しく衰えます。
このような身体機能の低下は、地上での”寝たきり”と酷似していると言われています。そのため現在の国際宇宙ステーションでは、トレーニング機器を使った1日2時間の運動が行われています。しかし、スペースや振動発生、温度上昇、搭載物量の問題から、現在と同等のトレーニング機器を火星探査船に搭載するのは困難だと考えられます。 そこで、地上において”宇宙滞在の影響を受けにくい体質をつくる”ことで、最小限の運動でも宇宙飛行士の健康を維持できないかと考え、本研究を立案しました。どのような運動歴や食習慣、またはその期間や頻度、を持つ人が宇宙滞在の影響を受けにくいのか、骨格筋の機能と遺伝子応答(エピジェネティクス)の関係に焦点を当てて明らかにしていきます。「寝たきりでも健康でいられる」という現代社会の概念を飛び越えたゴールを見据え、宇宙そして地上における新しい健康に対する考え方の確立を目指します。

運動効果獲得の個体差を理解するための骨格筋エピジェネティクス研究

期間
平成28年度~平成31年度
所属
松本大学大学院 健康科学研究科 河野史倫 准教授
応募先
日本学術振興会
概要
運動によるエネルギー代謝の増加が、肥満や糖尿病などを予防・改善することはよく知られています。一方で、同じように運動を行っても、その運動効果の表れ方には個体差があることもまた事実です。しかし、このような現象がなぜ起こるのかを説明できる理論は、現在のところ解明されていません。そこで我々は、骨格筋において「個体差はエピジェネティクスによって引き起こされる」のではないかと仮説を立てました。
エピジェネティクスは、遺伝情報に依存しない遺伝子の転写制御であり、遺伝子を取り巻く環境(エピゲノム)が転写応答の強弱に影響を与えることが知られています。運動効果の個体差が発生するメカニズムとして、「過去に受けた生理刺激」が「エピゲノム変化として骨格筋に蓄積」し、将来的な運動に対する応答性に影響を及ぼす可能性があると考えています。
本研究では、運動や運動不足、食習慣、重力刺激がどのように骨格筋のエピゲノム変化を起こし遺伝子の応答性に関わるのか?という点に着目し、個体差発生のメカニズム解明に迫ります。スポーツや運動による健康づくりにおいて、「どれくらいの運動習慣があれば病気になりにくいのか?」、「どのようなパラメータを評価すれば、将来の生活習慣病リスク診断や健康寿命予測が可能か?」という疑問は、究極的な到達点と言えます。本研究は、それらの疑問を解決するための切り口となる研究に位置づけられます。

地域社会での看取りはいかにして可能か―イタリアをフィールドとして

期間
平成28年度~平成30年度
所属
松本大学大学院 健康科学研究科 福島智子 准教授
応募先
日本学術振興会
概要
死にゆく人びとを対象としたホスピスケアの誕生から約半世紀が経過し、日本を含めた先進国ではその在り方が問われています。
超高齢社会を迎え、多くの人びとが病院や施設のみならず、在宅で死を迎える(迎えざるをえない)時代となっていますが、死にゆく本人や看取る人びと(家族や医療者、介護者)が満足できる死、あるいは看取りとはどのようなものかが、あらゆる場面で模索されています。
本研究では、約半数が在宅死を迎えるイタリア社会(二都市)を取り上げ、地域社会での看取りがいかにして可能かを、現地調査を通じて明らかにします。

農村地域に生きる若者の「暮らしの再構築」と地域学習

期間
平成27年度~平成28年度
所属
総合経営学部 観光ホスピタリティ学科 向井健 専任講師
応募先
日本学術振興会
概要
現在の農山村地域は、若者の都市部への人口流出がとまらず、多くの集落が機能維持において危機にあることが指摘されている。こうした農山村の集落の現実の中で、地域の持続可能性を拓いていくためには、次世代を担う若者たちが地域の中で生きがいを持って生活・労働をしていく見通しを持つことのできる社会的条件をどのように創りあげていくかが問われている。
そこで本研究では、農山村地域における若者の「暮らしの再構築」を支える地域学習論の構築に向けた基礎的な作業に取り組みたいと考えている。
具体的には、下記の2点について取り組むこととする。
第1の課題としては、1950年代以降、信州における農山村の生活現実を切り拓く新たな地域の担い手(「農村実力派」)を育んだ地域学習運動の展開過程を読み解き、かかる実践において蓄積されてきた学習論を析出する。
第2として、現代における地域学習運動の継承可能性を模索するとともに、農村に生きる若者の生活・労働を創出する地域づくりの可能性について検討する。

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