新着ニュース

2005/05/30
  • イベント情報

地方銀行の役割と八十二銀行の営業戦略 ――「金融システム論」特別講義第2回

総合経営学部の「金融システム論」特別講義(全8回)の第2回として、5月30日(月)に、八十二銀行営業統括部の舟見副部長から「地方銀行の役割と八十二銀行の営業戦略」というテーマで講義をしていただいた。「地方銀行の現状がよく理解できた」と、受講生に好評だったので、講義の要旨を紹介する。
 地方銀行は各都道府県を主たる営業基盤とする銀行で、地域経済の動向と地方銀行の経営は密接に関連している。地方銀行は、地域企業に対する経営面でのアドバイスに力を入れていることや地方公共団体との取引を行っている点が特徴といえる。
 八十二銀行は、長野県を主たる営業基盤とする地方銀行で、「健全経営を堅持し、もって地域社会の発展に寄与する」ことを経営理念とし、「強い収益力と健全な財務内容を持つ課題発見・解決型企業グループ」を目指すことを「ビジョン」(04~06年度)に掲げている。「強い収益力」がないと、赤字先も含め取引先に対する円滑な資金供給ができないことにもなりかねないので、収益力の強化が重要だと考えている。
 このような方針に基づく「長期経営計画(04~06年度)」を達成するために、営業面では次の3つの事業分野の強化に重点をおいている。第1は、預金(3月末残高5.1兆円)・貸出金(同3.75兆円)・決済事業といったコア業務(粗利益の約9割を稼ぎ出す)の強化である。地域経済が右肩下りの状況にあるため、県内シェア(貸出金残高シェアは約4割)の更なるアップ、大都市圏・関東エリアでの貸出強化や住宅ローン等個人向け貸出増強に注力している。こうした量的拡大だけでなく、取引先の経営改善等による資産良化やリスクに見合う(採算の取れる)貸出金利の設定といった質的改善にも取り組んでいる。
 第2は、金融商品・サービス販売事業の強化である。個人向けに、国債、投資信託、外貨預金などリターンのある金融商品の販売に力を入れているほか、今後の重点分野となる証券仲介業(証券会社への取次ぎ業務)も5月から業務を開始した。
 第3は、コンサルティング事業の拡充である。具体的に取り組んでいるのは、企業支援、企業再生支援、地域経済・企業活動支援、情報マッチング(課題発見・解決型営業を積極的に推進)・M&A業務の拡大である。これらは、足元では差異化によるコア分野での競争力確保を狙いとし、将来的には新たな事業分野として確立することを展望している。
 こうした事業分野の拡充・強化に加え、経営体制や体質に関わる「3つの変革」にも取り組んでいる。第1は、人的資源の最適配分という観点から、「営業体制を変える」ことである。具体的には、正社員の営業へのシフトと定型業務のスタッフ化促進による営業戦力の強化に努めている。
 第2は、ニーズに応じた店舗創造という観点から、「店舗のコンセプトを変える」ことである。個人取引や中小企業開拓に専念するエリア営業店の設置も始めたところである。
 第3は、「組織風土・行動を変える」ことである。既成概念を排除し、銀行という殻を打ち破っていくためにカルチャー・マインドを変革しなければならない。
 このように、「経営資源の活用により事業分野を拡大し、お客さまと地域に高い付加価値を提供する」(長期経営方針)ために、努力していきたいと考えている。

関連コンテンツ

このページ先頭へ