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2006/12/27
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総合経営学科「地域金融事情」(担当 太田勉教授)第一線でご活躍の金融機関関係者を招き特別講義を実施

総合経営学科の06年度後期講義「地域金融事情」の一環として、10月から12月にかけて「地域金融機関の現状」に焦点を当てた特別講義(全8回)を実施しました。実務経験豊富な特別講師の方々から「地域金融に関する生きた知識や情報」のみならず、金融業界での働き方や心構えなども伝授していただけたので、受講学生の関心も極めて高く、有意義な企画になったと感じています。主要な論点を整理すれば、次のとおりです。

① 地域金融機関が「地域社会」への円滑な資金供給、金融資産の運用、決済機能の提供という役割を果たしていくには、強い収益力と健全な資産内容が必要な時代となっている。この点は、相互扶助を目的とする協同組織金融機関にとっても同様であり、金融機関の同質化が進んでいる。
② 大手銀行を中心に不良債権問題はおおむね正常化し、銀行業界も元気を取り戻してきたが、県内の地域金融機関も不良債権処理に目処をつけ、前向きの営業戦略に転換してきている。こうした中で、近年「金融無風地帯」と呼ばれてきた長野県でも、個人向け住宅ローン、預金金利、投資信託販売などの分野において金融機関・業態間の競争が激化してきている。
③ 貸出面では、長野県内の企業向け貸出は右肩下がりの状況が続いているため、各金融機関とも個人向け住宅ローンの拡大に力を入れており、優遇金利商品や新たな顧客開拓のための新商品開発など、競争が激しくなっている。
④ 預金金利の面では、日本銀行がゼロ金利政策を解除(06年7月)した後、秋以降、地元銀行が先駆けた定期預金金利の引き上げキャンペーンに他の金融機関が相次いで追随するという預金獲得競争がみられた。
⑤ 個人の収益性志向の高まる中で、投資信託の販売に各金融機関が積極的に取り組んでおり、民営化を控え郵便局(05年10月販売開始)が販売に注力していることもあって、投資信託は家計にとって身近な金融資産となりつつある。
⑥ こうした中で、大手銀行は、国内・海外の情報を県内に提供・還元したり、総合金融サービスを提案・提供できるという持ち味があり、協調融資(シンジケートローン)などの分野では地域金融機関との提携も進めている。
⑦ 中小企業は、経営基盤の脆弱性等から民間金融機関の融資ベースには乗りにくい層が多数存在する。08年10月に政策金融改革が予定されているが、新しい政策金融機関が地域金融機関とも連携しつつ地域金融の円滑化に貢献していくことが望まれる。

ご協力いただいた金融機関・協会の皆様に御礼を申し上げます。


2006年度後期「地域金融事情」特別講義

第1回 最近の銀行界の動き 10月26日
   全国銀行協会 企画部長 岩本秀治 様
第2回 地方銀行の役割と八十二銀行の営業戦略 11月2日
   八十二銀行 営業統括部 副部長 舟見英夫 様
第3回 地域金融機関としての長野銀行の現況と役割 11月9日
   長野銀行 常勤監査役 酒井 尚 様
第4回 地域金融における大手銀行の役割と最近の動向 11月16日
   みずほ銀行 松本支店 支店長 福田千顕 様
第5回 協同組織金融機関の役割と最近の動向 11月30日
   松本信用金庫 理事 総合企画部長 臼井雅幸 様
第6回 JAの地域金融機関としての役割 12月7日
   長野県信連 JA統括部部長 花岡佳市 様
第7回 郵便局の地域金融機関としての役割 12月14日
   日本郵政公社 松本郵便局 局長 西澤 博 様
第8回 中小企業金融における政府系金融機関の役割 12月21日
   国民生活金融公庫 松本支店 支店長 滝沢 泉 様

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