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2007/12/05
  • イベント情報

公開講座「これからの栄養士はチーム医療のファシリテーター」報告

12月1日(土)に、「これからの栄養士は、チーム医療のファシリテーター」という題名で特別講義を開催した(共催:(社)長野県栄養士会研究教育栄養士協議会)。本学健康栄養学科 1年生・教職員、本学科に進学希望の高校生や保護者の方、長野県栄養士会の方や一般の方も参加された。
 講師の先生方として、大阪府立成人病センターの冨田晃司先生と福田也寸子先生をお招きした。これらの先生方は、同病院で精力的な栄養サポートチーム(NST) 活動をしておられる先生方である(同 NST 関連情報は本HP 10月2日付け NEWS>>>参照)。
 最初に冨田先生から、管理栄養士として将来身につけるべき能力や技術についてのお話を伺った。科学的に正確な知識を習得することはもちろん、科学的に物事を考え判断する能力、他人とのコミュニケーションを円滑に行うカウンセリング・コーチング能力、情報を発信していくプレゼンテーション能力、情報をいつも最新に更新できる能力などが必要とされることを伺った。これらは、大学で行われる講義・実験・実習に加えて、卒業研究を含めたゼミ活動の中で、実際に自らが研究を行うことにより培われ、身につけられるものだと思われた。
 次に、福田先生から、大阪府立成人病センターの NST の設立から発展についての話を伺った。どういう経緯でチームが設立されたのか、管理栄養士としてチームの中でどういう役割を果たさなければならないのか、それらがどういう形で患者さんの生活の質(QOL)と関わるのかについて、具体例を挙げて説明された。また、実践的な例として、成人病センター NST で開発した患者さんに好まれる食品(NST フード)についても、お話を伺えた。こちらの講義は、先生ご自身のお言葉でも聞かれたように、「給食室でカロリー計算だけしているただの栄養士さん」が、管理栄養士の本来の姿に戻り、NST の主要メンバーになるだけでなく、その過程で、自らが能動的に動くことで得られた臨床データを、最終的には全国的規模の学会のシンポジウムで発表するという内容であり、さながら、優秀な指導者のもとで、NST の設立と発展に呼応して、現場の様々な先生方のご指導を受けながら、病院栄養士として、人間的にも、知的にも、より成長していくという映画のようなストーリーでもあった。結局、これからの病院管理栄養士は今までよりもずっと患者に近い位置にいて、他の医療者との架け橋にもなれるため、医療チームの皆から慕われ、頼られ、その活躍が嘱望されるので、チームの主役にもなりえるのだと理解した。
 講義終了後、他の方に混じって、本学の2人の学生が講師の先生方に質問した。多くの聴衆の前で質問をするということは、かなりの勇気が必要であり、緊張もしていたが、とても素晴らしかったと思う。1年生が、わずかな学生生活の期間で成長の跡を印したことは、望外の喜びである。

本文は、健康栄養学科 山田一哉教授から寄せていただきました。
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