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2008/11/17
  • イベント情報

「サイエンスパートナーシッププロジェクト」を開催して

PCR産物のアガロースゲル電気泳動像

11月15日(土)に人間健康学部 6号館2階の生理学実験室ほかにおいて、「自分の遺伝子型を調べてみよう」という実験講座を開催しました。本講座は、独立行政法人科学技術振興機構の「サイエンスパートナーシッププロジェクト」事業の一環として行われたものです。これは、大学と高等学校・中学校・小学校などが連携して、大学の研究室・実験室を使って実験講座を行ったり、科学に関する講演を研究者から直接聴いたりすることで、科学のおもしろさを知ってもらい、一人でも多くの理科好きの生徒を増やすことを目的としています。今回は、高大連携先として松商学園高等学校の生徒総勢 42 名が参加してくれました。

 今回の実験内容は、自分の髪の毛から遺伝子DNAを抽出してもらい、アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)というアルコール代謝に関わる酵素の遺伝子型を検出してもらうというものでした。この遺伝子には日本人の変異としてG型とA型があります。ALDH2 は、517 個のアミノ酸から構成されていますが、G型だと 487 番目のアミノ酸残基がグルタミン酸に、A型だとリジンになります。私たちは父親と母親から遺伝子を受け継いでいますので、GG型(出現頻度は約 55%)、GA型(同約 39 %)、AA型(同約4 %)のいずれかの組み合わせになります。ちなみに、欧米人はほとんどが GG 型です。GG型の酵素活性を100とすると、GA型は6、AA型は0となります。したがって、この順でアルコールの代謝速度が低くなり血中アセトアルデヒド濃度が上がるため、フラッシング反応(顔面紅潮、心拍数・呼吸数の増加、悪心、低血圧など)が起こり、お酒に弱いタイプとなります。

 当日は、まず毛根から DNA の抽出を行いました。この時点では、本当に髪の毛から DNAなんてとれるのかな?と半信半疑の様子でした。つぎに、ALDH2遺伝子の解析のために、ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) にかけたところで、「最近の生物学の進歩」についての講演を聴いてもらいました。それから、ラボ探検ツアーと称して、6号館の実験設備を見学してもらいました。最後に、PCR反応産物をアガロースゲル電気泳動にかけて、増幅した DNAを染色して観察しました。染色された DNA のバンドが見えたときには、自分の遺伝子型は何であるかを我先にと判定して、他の人と比べたりして大いに盛り上がっていました。

 高校生からは自分一人で遺伝子解析ができてうれしかったとか、大学っておもしろいという感想がありました。ティーチングアシスタントとして、実験のお手伝いをしてくれた本学健康栄養学科の1,2年生もいろいろな面で、よい経験ができたと思っています。会の開催にあたりまして、様々な面でご協力をいただきました皆様に、この場を借りて感謝いたします。

本文は、健康栄養学科 山田一哉教授から寄せていただきました。
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