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2011/01/28

子どもたちの未来のために母国に学校を作りたい 松商短期大学部 中村純子准教授が特別講義を企画

カンボジアに語学学校を作りたい―。そんな夢を持つカンボジア人のチョーン・チョーブスさん(通称こーさん)と日本人の妻・平野曜子さんを招き、特別講義が27日(木曜日)本学にて行われた。これは、元公務員で本学の長期聴講生・井口隆夫さんが、地元池田町の公民館が主催した講座で、こーさんの話を聞いて感動したことから、国際交流センター運営委員で松商短期大学部の中村純子准教授に紹介。異国の事情を知る機会にもなると考え、自身の担当する「社会活動(国際交流)」「日本事情」にサポーター教員として招き、ゼミナールの留学生を含めた19名を対象に講座を企画した。



 こーさんは、ボランティア活動でカンボジアを訪れていた平野さんと出会い2008年12月に結婚したのを機に、日本に住まいを移し、松川村の企業で働いている。今では日本語も流暢に話すが、母国の子どもたちにも英語や日本語を学べる環境を整備したいと考えるようになった。

 こーさんは、世界遺産アンコールワットのあるシェムリアップ県の出身。5人兄妹の長男で、高校に通いながらアルバイトをして生計を助けていたが、お金が続かず中退せざるを得なかった過去がある。今でも義務教育ですらテストを受けるお金がなくて、学校に行けない子どもがいて、特に地方に行くほどその傾向は多い。コートノール村出身のこーさんも、中学生のときには片道2時間掛けて通学していたとのことで就学環境は日本に比べると雲泥の差がある。そんな村の子どもたちが、英語や日本語を話せるようになれば、ガイドやホテルマンといった比較的給与の高い職業に就ける可能性が拓ける。そんな思いから、義務教育の学校とは別に、無料で受けられる語学学校を自宅に作る計画を練り、資金や教材などを募る活動を始めている。「成りたい職業に就ける日本の子どもたちとは事情が違うのです」と語るこーさんの言葉に強い意志が込められていた。今まで働いて得たお金を基金に、早ければ2月末から開校させ、こーさんの友人が講師に就任する予定だが、継続的に学校を運営するため、「これからもカンボジアの現状を伝え資金を集めたい。みなさんにもぜひ協力してほしい」と呼びかけた。



「私たちに何かできることはないだろうか」、中村准教授の問いに対して学生たちは、文房具や楽器などを集めたいという意見を寄せてくれたが、[あいうえお]を習う段階の教材、例えばかるたなどが意外に役立つとのことだった。

 中国からの留学生は「長期の休みにみんなでカンボジアに行って、日本語を教えたらどうか」と提案。フィリピンやマレーシアからの留学生は、母国でも同じような環境の子どもたちがいるので、少しでも支援したいと語った。



 日本では、アニメ「タイガーマスク」の主人公・伊達直人を名乗り、児童養護施設にランドセルなどを届ける人が相次ぎ、いみじくも施設の運営体制が見直されることになったが、こーさんたちの活動に賛同した私たちの小さな活動は、異国の子どもたちの未来を大きく変える可能性を秘めている。
 カンボジアは人口約1480万人。日本の半分ほどの面積。20世紀の初頭までフランスの植民地だったが、1953年独立。順調に主権を回復したが、1975年、ポルポト政権により、教員など知識人の多くが殺される歴史を有する。今でこそ識字率78.4%となったが99.8%の日本とはまだ差異がある。
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