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2011/09/13
  • イベント情報

第4回「ひらめき☆ときめきサイエンス」を開催して

9月10日(土曜日)に、独立行政法人日本学術振興会の「ひらめき☆ときめきサイエンス ~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI」という事業の一環で、6号館2階の生理学実験室ほかにおいて、「自分の遺伝子型を調べてみよう2011」という実験教室を開催した。

 4回目に当たる今回の実験内容は、各自の唾液から遺伝子 DNA を抽出し、自分の遺伝子型を検出するというものである。検出する遺伝子型は、「アルデヒドデヒドロゲナーゼ2」「β3-アドレナリン受容体」「α-アクチニン3」の3種から選んでもらった。これらの遺伝子の一塩基多型を調べることにより、「お酒に強いか弱いか」「太りやすい体質かどうか」「短距離型の筋肉か長距離型の筋肉か」を調べることができるといわれている。当日は、高校生23名と引率の先生3名の計26名の参加者があった。

午前中にまず DNA の抽出を行った。抽出液にエタノールを加えたあと、ゆっくりと何回か転倒混和しているうちに、試験管内の水溶液中に突然、白い糸くずのような形でDNAが沈殿してきたときには、みんな大喜びでキラキラと目を輝かせていた。つぎに、それぞれの遺伝子を増幅するために、ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) にかけたところで昼食・休憩をとった。お手伝いの院生やゼミ生・2年生にも入ってもらって、大学生活や研究について忌憚のない話をしてもらった。昼食後は、「一塩基多型と体質」「PCR法の理論」についての講演を聴いてもらい、学問的な内容を把握したあと、午前中に行った反応産物をアガロースゲル電気泳動にかけた。電気泳動の間には「ラボ探検」と称して、本学の各実験室の見学を行った。次に、増幅されたDNA を染色して観察し、自分の遺伝子型を判定したあと、結果の発表とディスカッションを行い、最後に未来博士号の授与式を行った。

 高校生からは「 DNA を自分で調製できてうれしかった」「PCRって凄い」という感想があった。今回の実験教室を手伝ってくれた大学院生や健康栄養学科の学生も、人に物事を伝えることの難しさと楽しさを理解してくれたようである。また、先輩として、大学生活に対する高校生の質問や相談にものっている姿を見て頼もしくも感じた。会の開催にあたり、様々な面でご協力をいただいた皆様のおかげで、会全体を通して、終始スムーズに楽しく穏やかな雰囲気で進行することができた。この場を借りて感謝する次第である。

本稿は、松本大学大学院 健康科学研究科 山田一哉教授より寄稿いただきました。
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