インスリン誘導性転写因子の作用機序と食餌と病態による遺伝子発現制御

概要

私たちは、毎日三食、食べますね。食物中に含まれていた炭水化物は、ブドウ糖にまで消化されてから体内に吸収されます。ですので、食後一次的に血液中のブドウ糖濃度(血糖値といいます)は上昇しますが、通常はすぐに元のレベルに戻ります。血糖値が高い状態は健康に良くない状態です。長く続く場合には、糖尿病という病気になることがあります。健康な人では、血糖値が高いときには膵臓のβ細胞からインスリンという物質が分泌されます。インスリンは肝臓にはたらきかけてブドウ糖の合成・分泌を減らしたり、筋肉・脂肪組織にはたらきかけてブドウ糖の血液中から細胞への取り込みを増やします。こうして血糖値は下がるのです。
本研究では、インスリンのはたらきを仲介する SHARPs という物質に注目して、膵臓のβ細胞や肝臓・筋肉・脂肪組織で SHARPs がはたらくしくみや、ブドウ糖や糖尿病による SHARPs 遺伝子のはたらき方の変化について調べます。