食を伝える新しい異世代間地域ネットワークづくりのための参加型アクションリサーチ

概要

長野県は、現在、都道府県別の平均寿命が男女ともに1位です。その要因について全国的に関心が高まっていますが、地区組織活動のひとつである食生活改善推進員等の活動が活発に行われており、こうした組織が地域における健康づくりに貢献し、これらの組織を基盤としたソーシャルキャピタルが良好な状態に保たれていることも要因の一つといわれています。食生活改善推進員が伝統的な食事を踏まえた上で、現在の食事の課題を学び、適切な食生活のあり方について伝えてきた地域内における横のネットワークの功績は大きいはずです。
一方、日本一長寿の長野県でも若年者や子どもたちの健康課題は深刻化しており、その要因の一つは、これまでは家庭の中で伝承されていた健康につながる食習慣等の継承がなされない、つまり家庭内における縦のネットワークの弱体化があるのではないかと考えました。
そこで、本申請研究では、地域内において家庭の枠を外してライフステージをつなぐ斜めのネットワークの構築、つまり、健康寿命の延伸に結びつく食を伝える新しい異世代間地域ネットワークづくりを推進したいと考えています。具体的には、異世代間地域ネットワークとして、食生活改善推進員であるシニア世代と高校生がともに行う活動のモデルプログラムを構築し、高校生による食改ユースの組織化の基盤づくりをめざします。活動成果をみるにあたって、プロセス評価指標を検討し、参加者のアウトカム指標を加えて評価法を検証した上で活動の推進を図り、その成果を科学的に検証する予定です。
さらに、その活動プログラムを地域や行政と連携して長野県全体へ、さらに全国へと発信することをめざします。長野県は食生活改善推進員の活動が活発であり、先進的な活動モデルを構築する上で、優れた地域です。参加型アクションリサーチとして取り組み、丁寧に科学的エビデンスに基づいた検証を行っていきたいと考えています。