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地図を持って歩こう!

講義「地理学」では、地理学的に空間を見る・考えることの楽しさを学生に経験してもらうことを目的としている。そこでは、地図は「空間を見る・考える力」の始点にあたる重要なものである。
  授業では、高校地理の未履修者が多かったこともあり、最も基本的な国土地理院地形図の知識・読み方・使い方の習得に大きく時間を割いた。まず、二万五千分の一地形図「松本」の昭和22年版と昭和51年版を入手し、その中の大学周辺部分のコピーを学生に配布した。
  学生は22年班と51年班とに分かれ、持参した色鉛筆を用いて市街地・集落・農地・林地など地図上に細かく表記された土地の利用形態をそれぞれ塗り分け、土地利用図を作成した。これをもとに、大規模な桑畑が工業団地や水田へと変化したことや、田んぼ内に道路が新設されたこと、水車などの記号が激減したことを明らかにしていった。
  こうした作業(読図)を踏まえて、11月6日(火)講義時間内にフィールドワークを実施した(参加者26名)。大学から南東部を歩き、学生たちには200mほど歩くたびに地図に位置を記入させ、40分かけて約1キロを往復して自分たちの土地利用図と現在の状態とを比較・確認させた。また、変化した景観を撮影し、地図上に記入するという作業も行った。前日に比べて冷え込んだ日であったが学生たちは元気で、「たった30~40年の間にこんだけ変わるんだー」と感嘆したり、地図の見方に四苦八苦しつつも楽しそうにフィールドワークをこなしていった。
  地図からフィールドワークへ。分かることもあれば、歩いてなお「見えない」こともある。この体験からそんなことを感じ取ってくれれば成功と考えている。
 本稿は、観光ホスピタリティ学科寄藤晶子准教授が寄稿した、学報「蒼穹」第89号から掲載しています。
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