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2008/04/02
  • アウトキャンパス・スタディ事例

『タウンモビリティのデモンストレーション実験in大町-タウンモビリティの活用・普及によるまちづくり-』

事前に大学で行われた講習の様子

3月31日に『タウンモビリティのデモンストレーション実験in大町-タウンモビリティの活用・普及によるまちづくり-』を実施しました。タウンモビリティは、長距離を歩行することが困難な高齢者や障害のある方の移動手段として電動カート(ハンドル型電動車いす)を活用し、移動が苦にならないようにする仕組みです。障害のない私たちも、ちょっと遠い場所に移動するときに「自転車」を使うのと同じように考えられますが、電動カートは自転車ほど気楽に利用できませんので、まずは実験としてまちの中を電動カートで移動しながら、その課題等を検証しました。
 大町市商店街は信濃大町駅から、まっすぐ1.5㎞ほどのアーケード通りが存在しています。電動カートは道路交通法では歩行者と同じなのでこのアーケード内の歩道を走行することができます。駅まで来られた方が、商店街で買い物したり銀行や郵便局などを利用したりすることを想定し、駅前から電動カート3台と電動車いす1台にのりアーケード内を移動しました。参加者は、松商短期大学部の学生6名と長野市の福祉住環境コーディネーターの仲條さん、福井県のNPO法人「ふくい路面電車とまちづくりの会」の高橋さん、観光ホスピタリティ学科教授の白戸先生と私でした。
 電動カートで移動しながら、商店街の「わかりやすさ」「利用しやすさ」「心地よさ(うつくしさ)」について確認しました。これは、熊本県建築課の「既存建物のユニバーサルデザイン評価マニュアル」を参考にしています。移動中は、銀行のATMや自動販売機、公衆電話などを評価しメモや写真に記録し、最後に大町市総合福祉センターにてディスカッションを行いました。そこでは、歩道は比較的広く設計されているため移動するためのスペースに問題はないが、傾斜(店側が高く道路側が低い)により運転が難しかったり、信号手前のスロープがきつすぎ信号待ちの時が大変だったりするところの指摘がありました。しかし、この様な状況でも電動カートが活用できる可能性が見えてきたと思います。他の学生は、歩道を自転車が走行した場面のことについて、本来自転車は歩道を走行できない(このアーケードは自転車走行可の標識はなかったので)ことになっているが、車いすなどを運転している人の方が「迷惑をかけている」ような気持ちになってしまうことも体験したと話していました。普段は体験することのできなかったバリアが見えたのではないでしょうか。
 また、「ゴミひとつないきれいな商店街」や「音楽が流れていて心地よかった」「所々に小さな公園があって良かった」など、この商店街のよさも発見できました。人通りの少ない商店街でしたが、この商店街に思い出のある方もいると思います。そんな地域の方が利用できるような、移動手段として電動カートの活用ができるのではないかと感じました。

※参加学生は事前に「スズキセニアカー安全運転指導員」の講習を受け、運転にあたっての注意や安全確認などの知識や初めて運転する方をエスコートする方法を学びました。
※本事業は、地域共同研究の一環として実施しました。
 本文は、松商短期大学部廣瀬豊専任講師から寄せていただきました。
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