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2014/11/07
  • アウトキャンパス・スタディ事例

「植物工場」でのアウトキャンパス・スタディ実施(総合経営学科の葛西ゼミと、「食品産業論」「アグリビジネス経済学」の受講生)

総合経営学部総合経営学科 教授 成 耆政


2014年10月30日(木)、総合経営学部総合経営学科の葛西ゼミ生(葛西和廣教授)と、食品産業論・アグリビジネス経済学(成耆政教授)受講生が、企業訪問によるアウトキャンパス・スタディを実施したました。
今回は「植物工場の現況と展望-その役割と経済的可能性-」というテーマで、安曇野市三郷にある「(有)安曇野三郷ハイテクファーム」という植物工場を訪問し、施設の見学とプレゼンテーションを受けました。

今回の植物工場でのアウトキャンパス・スタディでは、衛生管理上工場の内部には入ることができず、窓から工場の内部すなわち設備や植物栽培の状況を見学、ついで種まきから収穫状況などを見学しました。
その後会議室に移動し、代表取締役の大野田さんから植物工場と当企業の概要についての詳細な説明を受けました。その際学生による質問の時間があり、参加者達は設備に関すること、特に現在のナトリューム灯をLEDに交換した場合のコスト等の生産性の問題や、この植物工場で生産された野菜の市場価格と販売先、植物工場のメリット、日本における植物工場の今後の展望、植物工場経営の難しさなどについて質問し、大野田社長の回答を真剣に聞いていました。

今回訪問した「安曇野三郷ハイテクファーム」は「TSファームシステム」ともいい、高圧ナトリュウム灯の人工光を使って日照時間や天候に左右されず周年で植物を工業的に計画生産できる完全制御型の植物工場です。
この植物工場は長野県における代表的な植物工場として,平成10年6月に建設費は2億3千万円で建設され、国から1億円の補助金を受けています。
現在、サラダ菜・リーフレタス・フリルアイス・わさび菜などの完全無農薬・無添加物による安全・安心の野菜を生産・販売しています。

ハイテクファームの野菜は、病原菌や病害虫から野菜を守るため密閉完全制御型の工場で野菜を栽培しています。
そのため、農薬を一切使用せず徹底した衛生管理のもとで育てられ出荷しています。低細菌なので日持ちがよく(冷蔵庫に入れておけば3ヶ月は持つとのこと)、洗わずに食べることができるため、ビタミンやミネラル等の栄養分を洗い流すこともありません。また、調理面でも水洗い・選別・水切りも省けるので業務用としても経済的に利用できる商品でもあります。

この工場では施設内の衛生管理も徹底し、作業を行う従業員は清潔な作業着・作業帽・作業靴に着替えた上、アルコールによる手の消毒をし作業を行っています。このような徹底した管理のもと,洗わなくても食べられる野菜が生産されているのです。参加者達はこの工場で生産された野菜を実際,試食することで商品の品質を自分の舌と目で確認することができました。

今回の植物工場のアウトキャンパス・スタディの参加者は、「大変興味深かった」「工場で生産する野菜という農業のやり方もあることをはじめて知った」「野菜が他の工業製品と同じように生産されている」「これなら日本の農業にも未来があるように思える」「太陽を浴びないで育った野菜,少し抵抗があった」「大野田さんは農業経営であると言ったけど,これを農業経営といえるかな」などの感想を話していました。
確かに、これは従来の伝統的な農業経営では考えられない未来の農業経営の一つの形かもしれません。

TPP交渉のまっただ中、日本農業の現状を鑑みながら、いろいろと考えさせられた貴重なアウトキャンパス・スタディの時間でした。

参加者の皆さん!お疲れ様!
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