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2015/06/25
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保育園給食の放射性物質に関する調査について(COC事業) -第1報-

人間健康学部健康栄養学科 教授 杉山 英男


松本大学は、平成25年度より、地域社会の発展や振興をはかるための、教育・研究そして地域貢献を推し進めている大学を財政支援する目的で文部科学省が始めたCOC事業「地(知)の拠点整備事業」に採択されています。

その事業の趣意に基づき、人間健康学部健康栄養学科(杉山ゼミ)では、松本市立保育園の給食食材の放射性物質の調査を平成26年9月より開始しました。
この調査は、各食材に含まれる放射性物質の存在量を明らかにして、状況に応じて摂取量や曝露量の評価を行うことにより、園児ならびに保護者に対する食の安全・安心確保に寄与することを目的とします。
松本市内のNPO法人日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)との連携のもと、松本市こども部の協力を受けて実施しています。
今回、これまでの調査結果を一覧表としてお示しします(記事下部PDF参照)。

*本調査の概略は次のとおりです。


【方法】
  • 給食(松本市立保育園)で使用される食材を調査対象とします。
  • 毎月の献立表(松本市提供)より杉山ゼミで対象食材を選びます。食材の選択にあたっては、長野県産であること、調理使用重量の大きいこと、あるいは、放射性セシウムを吸収・蓄積しやすい傾向のあることなどを考慮します。
  • 食材は、実際に食べる部位(可食部)のみを対象として、ブレンダーあるいは包丁で細断し計測用の容器に充填します。
  • 調査対象とする放射性物質は、過去の大気圏内核実験やチェルノブイリ原子力発電所、福島第一原子力発電所の事故などで環境に放出された経緯のある放射性セシウム(セシウム-137(Cs-137)、セシウム-134(Cs-134))やヨウ素-131(I-131)および自然界に存在するカリウム-40(K-40)です。
  • 測定は、NaI(Tl)シンチレーション検出器付測定システムを用いて7,200-18,000秒計測した後、付属の解析ソフトにより放射性物質の同定・定量を行います(図1参照)。
  • 測定機器は、松本大学ではトライアスター液体シンチレーションカウンター(HIDEX社製:平成27年1月まで)、TN300Bベクレルモニター(テクノエーピー社製:平成27年2月より)、JCFではCAN-OSP-NAI測定器(日立アロカ社製)を用いています。
  • これらの調査は、おもに杉山ゼミの4年生が担当しています。
実施にあたっては、本ゼミによる放射能分析の妥当性の確認や測定器の精度管理のために、認証値の示されている認証標準物質(放射能分析用しいたけ認証標準物質(公益財団法人 日本分析化学会開発、頒布))の分析を適時行い、測定値の信頼性の確保に努めています(図-2参照)。

【結果】
  • 調査結果の一覧表を示します。これまでの調査結果(平成27年6月末)では、福島原発事故等に由来するとされる人工の放射性物質である放射性セシウム(Cs-137とCs-134)やI-131は検出されていません。
  • 調査結果は、測定を実施した当日に松本市こども部保育課にお知らせします。


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図ー1 NaI(Tl)測定装置によるガンマ線スペクトル図(認証標準物質/放射能分析用しいたけ測定結果の例)


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図ー2 NaI(Tl)測定装置にサンプル容器をセット


杉山ゼミでは、引き続き、保育園給食の放射性物質調査を実施し、一覧表にデータを追加して本ホームページ上に開示していきます。

【連絡先】
松本大学人間健康学部健康栄養学科
杉山 英男
電話:0263-48-7324
メール:hideo.sugiyama@matsu.ac.jp
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