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2022/06/13
  • 教育研究情報

健康科学研究科大学院生 清水純也さんの修士論文が国際学術誌に受理されました

大学院健康科学研究科
スポーツ健康学科
教授 河野 史倫

健康科学研究科の大学院生・清水純也さん(現博士後期課程1年)の修士論文がイギリスの生理学誌「The Journal of Physiology」に受理されました。

清水さんは修士特別研究において、運動によって骨格筋に誘発されるエピジェネティクスについて研究を行いました。エピジェネティクスは、DNAやヒストンへの化学修飾により遺伝子構造を変化させることで、遺伝子の読み取りやすさを制御する仕組みです。運動に対する応答のしやすさには、このような仕組みが深く関わっていると考えられています。ヒトの骨格筋でヒストン修飾を調べた清水さんの卒業研究(スポーツ健康学科)では、ヒストンH3における27番目リジンのトリメチル化(H3K27me3)修飾が運動により高まることを明らかにしました。

そこで修士特別研究では、このH3K27me3が運動効果獲得にどのような役割を果たすのかを、マウスを用いて研究しました。H3K27me3は遺伝子を読み取りにくくする化学修飾として知られてきましたが、運動によって読み取られる遺伝子領域ではH3K27me3だけでなく活性型(遺伝子を読み取りやすくする)H3K4me3も同時に修飾されていることが分かりました。薬剤を用いてH3K27me3を高めた場合、H3K4me3も増加し運動による遺伝子読み取りはさらに活発になり、トレーニング効果が顕著に増強されました。逆にH3K27me3を抑制した場合は、トレーニング効果が全く得られなくなりました。

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以上のように、運動誘発性H3K27me3は運動に対して骨格筋遺伝子の応答性を高める役割を持ち、運動に適応する過程において重要な役割を果たすことが明らかとなりました。

一度生じたエピジェネティクスは、その先も残り続けると考えられています。習慣的な運動によって付加されたH3K27me3が、将来における運動効果の得やすさ、つまり"運動効果の個体差"を作り出す要因のひとつではないかと考えています。このような理論が証明できれば、いつ・誰が・どんな運動を・どのくらい行えば生涯を通じて残る運動効果を獲得できるのか明確にできると期待しています。

本研究は、日本学術振興会・科学研究費助成事業(16H03263、21H03383)ならびに松本大学・学内研究助成費(2019年度~2021年度)の支援により実施されました。

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